初日
新幹線からの眺望である。ちょうど姫路~相生のあたりだった。ここは私の育ちの故郷。思いつきで京都に引っ越してきてから初めての帰省中に出会った空である。iPhoneカメラのレンズ位置に限界があって「良さ」が伝わらないのだが、視線の先にはもっと素晴らしい景色が広がっていた。気分が重いような軽いような不思議な気持ちになった。
相変わらず満員御礼のマツダスタジアム。広島カープはもうマジックが点灯しようとしている。余談ながら、私はカープが優勝した日に生まれたらしい。それから四半世紀余り、ようやく再びリーグ優勝を果たしたというのだから(にわかファンであっても)思い入れは深い。何かと保守的で、身内のこととあればカルト集団並の結束力を発揮する。広島という都市はそういう街なのだ。
それにしても、たった5ヶ月ほど離れていただけなのに駅が大きく変わっていた。待合室なんてオシャレな空間ができていたり、地元の最寄り駅周辺の店もいくつか変わっていたりしていた。時というのは残酷な一面もある。とりあえず、ただいま。
2日目
祖母と食事の約束をしていた。「食べたいものは?」と聞かれたので、秒で「お好み焼き」と答えた。住んでいた頃は月に1度は必ず食べていたのに半年も口にしていなかったのだ。いつものお店に入って祖母と同じものを食べた。(もうじき80歳なのに完食してしまうのだからすごい。向こう20年は生きているだろう)
3日目
まずは師匠のご自宅へ。英語教育でムカついていることなどを始め、近況報告として教材の出版について話をし、現時点での改善点を考えるきっかけになる有益なコメントをいただいた。時間をかけてマイペースに完成まで持っていこうと思う。ちなみに、私が英語の独習教材を作る理由はいくつかある…が、ここでは「国の言語教育政策や学校教育の現場は当てにならないから」とだけ書いておこう *1。
その後は親友の地元へと遊びに行った。行きの電車内で手渡されたのは共同制作の同人誌(外装だけ自分が担当した)。実際に手に取ってみると発色があまり良くない。デザインもしっかりと勉強したいものだが、時間を言い訳にさせてもらいたい。まあ、この反省は次回に活かそう(次回は一次創作で出る方針となった)。内容に関してはまたゆっくり読むことにする。
この日、彼の地元に行った理由は妹ちゃんに盆踊り大会に呼ばれていたためであった。妹ちゃんも母上殿も元気そうで何よりであった。写真の金魚は会場の金魚すくいで獲ったものである。全力で楽しむだけ楽しませてもらい、これと合わせてもらった金魚も含めて子どもたちに分け与える仕事をした。子どもは純粋で可愛い。
4日目
親戚付き合いは膨大なMP消費を必要とする。書いても仕方のないことなので「しんどかった」とだけ残しておく。家族制度というのはややこしい。ただ、久しぶりに車を運転して車が欲しくなった。ただ、お金はないので3年後くらいの目標に「自動車を買う」を設定しておこうと思う。グッとこらえて諸々の支払いを済ませてから。
5日目
広島市内にやってきた。数年と離れていたわけでもないのだから当然なのだが、ここは何も変わっていなかった。
本日の目的は、県立美術館にて開催されている「ジブリの大博覧会」である。友人からチケットが2枚あるので行こう、となった。帰って来るまで特別展の存在を知らなかったので嬉しいお誘いであった。
何から話そうか。美術館入口でいきなり精巧に作られた飛行船模型が視界に入った時点で良さしかない。入場したらトトロがバーカウンターで出迎えてくれるのだが、そこに置いてある物の一つひとつに反応してしまう。
歩みを進めると映画の宣伝ポスター、セル画、絵コンテ、初期設定資料、電車の車両広告、コピーライティング草案、新聞の切り抜き、ロゴデザイン、書簡集、映画のチケット、世界観の考察資料、航空機の話、サントラCD(レコード)やビデオテープ(DVD)や色んなジブリグッズが展示されていた。充実していたので全国から人が来てもおかしくないのでは…?もう一周したい。
この日の酒宴会場。瀟洒。ちょうどスペアリブを食べたいと思っていたところだった。ヨシ(画像略)。ここでは色々な話をしたが、懐古的な話は少なかった。今の状況、仕事の話、将来的な話なんかを中心にバカ話をしていた。この友人たちなら集まっていたいと思える。付き合う人間が変わると考え方までもが変わってくる。変わるまで行かずとも、何かしらの刺激を受けることになる。自分の大切にしたい人というのは、自分に良い影響を与える人々なのだと思う。
最後、どうしても立ち寄っておきたかった場所がここ。入院中(大学院生時代)、少なくとも隔週で必ず歩いていた場所である。
最終日
現在、実家の自室でこの文章を書いている。これを書き終えたら荷造りをして上洛する。20時前には到着する予定だ。歩き足りない所はあるのだが、広島はまた縁があったら住むことになろうし、帰省することもある。住んでいた所は、いつしか来る所になっていた。
今のうちに済ませておきたい仕事がたくさんある。予定のない日に限り、明日から仕事を再開することにしよう。せっかく心に健康を取り戻したのだ。根を詰めずに、ほどほどに。(仕事内容ではなく、する必要のない仕事にやるべき仕事を邪魔されるのが嫌であることが分かった)それだけに、今月末の社会復帰チャレンジが心配である。またな、広島。
*1:年間で4兆円から5兆円が動いていると言われている英語ビジネスには詐欺が多いわけなのだが、それを端緒とするあらゆる惨状から学習者を守りたい。たぶん、学校教育における英語は今後「試験として」しか残らないような気がしている。まあ、詳しい話は書く気力があれば書こう。