興味本位で職場の写真部に何度か顔を出していたら、顧問をやっている方に現像方法を教えてもらえることになりました。カラーは個人でやるには難易度が高く、モノクロの現像となるそうなので、早速、指定のフィルムカメラを買いに出かけました。もちろん、フィルムカメラは価格インフレを起こしているので、買ったのはインスタントカメラです。
余談ながら、以前からカメラ周りの物品を購入する際に相談していた店員さんと気付いた時には顔馴染みになっていたので、世間話で暗室の情報や、溶液のような必要な物品も雑談がてら教えてもらいました。それが中々大変そうで、そこまでしてやらなくても良いのでは…とも考えたものです。とは言うものの、写真現像の仕組みには興味があったので、知識として学んでおきたかったのがことの発端です。以下、備忘録。
用意するもの
- ダークバッグ:遮光のための黒い布。手を入れてその中で作業する
- 現像タンク:リールで巻き取ったフィルムと薬品を入れるためのもの
- フィルムピッカー:フィルムケースからフィルムを取り出すためのもの
- リール:フィルムを巻くためのもの
- はさみ:巻き取りを終えたらフィルムを切るために使う
- 各種薬品:現像液、停止液、定着液、水洗促進液、ドライウェル
作業工程
ピッカーの使い方を自分なりにまとめていたのですが、こっちの記事の方が分かりやすいと判断したので、こちらのURLだけ載せておきます。まあ、あくまでも自分のための備忘録なのでよしとします。
フィルムの先端を出せたら「巻き」の作業に映ります。フィルムは、少しだけなら光が当たっても問題ないので、まずはリールのツメに引っ掛けて半周くらい巻いてから、その後の作業を全てダークバッグの中で行います。
ダークバッグで作業する前に、はさみとタンクも一緒に入れておくことを忘れずに。ここまで巻けたらはさみでフィルムを切り離し、リールをタンクの中に入れてフタをして「巻き」の作業が終わります。
薬品を用意する
ここで20℃にしなければならない理由は特にないのですが、現像において、薬品は温度管理が生命線です。薬品の温度が高いと現像の速度が早まり、温度が低いと現像の速度が遅くなります。つまり、決まった秒数、決まった感覚で現像を行うためにも、一定の温度を保ったほうが良いので、温度管理を徹底する必要があります。
停止液と定着液も20℃の温度が望ましいのですが、現像液ほど気を遣う必要はないそうです。今回は特に意識をせずに投薬します。
現像作業
このような感じでタンクの上の蓋を開けて現像液を流し込みます。間違ってもフタを開けてフィルムを露光させないように注意します。
現像液を流し込んだところから現像が始まるため、ここからは手際よく作業を行わなければなりません。液体を流し込んだら、蓋を閉め、まずは気泡を抜くために「コンコン」とタンクの底を机に打ち付けます。その後、1分間撹拌します。タンクを上下にゆっくりと振り、液体をフィルムに浸透させます。
1分経つ頃に再びタンクの底を机で「コンコン」と叩き、空気を抜いてあげて、今度は55秒間寝かせます。55秒が経過したら5秒で撹拌し、また空気を抜いて55秒寝かせます。今回は新品の現像液を使用しているため、この作業を7分30秒続けます。
現像終了の20秒くらい前になったら、現像液を上のようにして抜き、停止液を流し込みます。停止液は1分間タンクを上下にゆっくりと振って撹拌し、液体を排出します。
停止液を排出し終えたら、今度は定着液を流し込みます。定着液は1分間タンクを上下にゆっくりと振って撹拌し、その後、空気を抜いて4分間放置します。スピードと正確さが命。
ここからはフィルムを洗浄していきます。流水で洗うだけでも良いのですが、水洗い促進剤があれば安心とのこと。乾燥剤も投薬して、念入りに洗います。
「巻き」の段階で力を入れすぎたことが原因で、一部、失敗していました。とはいえ、初めてにしては上手く現像できたのではないでしょうか。ちなみに、ネガの透明な部分は、写真を焼いた時に黒く塗りつぶされる部分です。この写真は瑠璃光院での撮影だったのですが、光が足りていないように思います。これも焼いた時にどう写っているのかが楽しみです。
今回、引越し準備など、時間の関係で「焼き」の作業まではできませんでした。写真屋さんに行っての「焼き」となるのですが、業者にネガを送らなければならないということで、4日ほど時間がかかるのだそうです。
ということで「焼き」は実家に帰ってからのお楽しみということになってしまいました。しかし、ここまでなら特殊な機械や暗室がなくてもできるので、ちょっとした趣味に良いかもしれません。
さて、最後の最後に、お金を積まないと学べないような貴重な体験をさせてもらいました。お忙しい中、時間を割いてくださったこと感謝致しております。「もし、教師を続けるなら写真部の顧問が向いている」と、現像を教えてくれた人は仰っていました。来年度の去就に関しては悩んでいるところですが、それもアリかもな…などと、漠然と考えているところです。悪いことばかりではないのが、教職の憎らしい部分なのかもしれません。