序:前回のあらすじ
前回は、倉橋島に到着したところまでをまとめています。あろうことか、立ちゴケしてしまって、その分で尺を使ってしまったので前編と後編で分けることにしました。当記事の目次にもありますが、後編の目的地は、往路を鹿島、復路を火山展望台と設定しました。
鹿島、宮ノ口にて
目的地までは、ひたすらに海沿いを走りました。ツーリングは1本内側の道が面白かったりするものですが、こういう走りやすい道をトコトコ進んでいくのは王道におもしろいです。
撮影した動画を切り取ることで、こうして文章でのブログも書きやすくなりました。今までは路肩にバイクを停め、手袋を外して iPhone で撮影する…といったフローがありましたが、それをしなくても良くなったのが大きいですね。
鹿島大橋にやって来ました。こんなに素敵な場所なのに車通りも少なく、道も整備されていて走行しやすいです。いやあ、穴場です。ちょっと走るくらいだったらこういうところが良い。
所謂、この「過疎地域」にも民宿がありました。学生と見られる若者の姿があり、サークル活動での利用だったり、泊まり込みでの釣りなんかで利用されたりするのでしょうか。こういった民宿も数を減らしていくことでしょうから、少しでも心が動いた時に泊まってみると良いのかもしれませんね。
宮ノ口港に到着しました。ここも穏やかな港町でした。この写真を後編のサムネイルにしようかなあ。先日、雪道を走ったせいで汚れが目立ちますが、その汚れもなんか許せてしまう見た目をしています。さて、散策してみましょう。
段々畑まで、まっすぐ道なりに進んでいきます。観光誘致をしているわけではなさそうで、ごく普通の住宅地の一角に「石が積まれた段々畑」があるらしい。


宮ノ口の街並みは、今でもひっそりと人の呼吸が感じ取れる場所でした。郵便も届くようですし、バス停もありました。
屋根を押さえるための「おもし」が漬物石? 石垣に積まれた家屋にも情緒を抱きます。


ものすごく背の低いカーブミラーです。自転車やスクーターのような車両くらいしか入れないほど細い路地に、キュッと民家が密集しています。漏れ出るワイドショーの音や洗濯機の稼動音が心地よいです。
段々畑に到着しました。通常の段々畑とは違ってどんな作物に向いているのでしょうか。水はけが良さそうです。それにしても、地震が来ても大雨が降っても崩れない技術力というのはスゴいですね。
さらに進むと海岸が現れます。3分割構図を意識して、下のラインには対角線上に砂浜と海を入れ、中央のラインには島と空を、上のラインには太陽を入れて撮影しました。画面左手の一点に向かって直線を引くこともできるおもしろい絵になった気がします。
のどかです。漁船が多く、穏やかな波に合わせてこれらが上下に揺れているのをボーッと眺めていました。文明が発達したのにこういった時間が増えていかないのは何か変ですよね。ああ、人生。
"caballero" はスペイン語で「紳士」を意味する語です。英語では "gentleman" や "knight" に該当しますが、この語からも、時には雄々しく豪快に、時にはこういった時間の使い方ができる、まさに、紳士の嗜みにピッタリな車両だと云えるでしょう。
倉橋島、火山にて
宮ノ口を後にして、倉橋島の方にバイクを走らせ、火山展望台を目指します。偶然にもバスのダイヤに鉢合わせたので、一緒に走ることができました。ラッキー。
海沿いをひたすら走り、展望台への道に入ります。広角レンズでは伝わりませんが、これが中々の急勾配です。オフ車だとこういう道が楽ですね。1速でもある程度引っ張れるのでスムーズに走れました(慣らし中なので加減はするものの)
展望台までは軽い登山になります。駐車場からもそれなりに良い景色でしたが、せっかくなので登ってみることにしました。
山頂 408m 地点にはたどり着けたのですが、日頃の運動不足が祟ってしまい、立っていられないほどにまで足が痙攣してしまいました。以前、SRX で立石岬灯台に行った時と同じことを書いていることに気付きました。何度目の正直か、日頃からトレーニングしておこうと思いました。
山頂から、さらにロープをつたって岩肌を登ることもできたのですが、今回は危ない気がしたので止めておきました。遮蔽物のない山頂から眺めるともっと綺麗だったかもしれませんが、この景色でも十分に満足しています。
もう一か所、展望台があるのですが体力的に登るのはムリでした。次回、来ることがあれば今度はこちらからの景色を画角に収めてみることにしましょう…。では、帰路に着きます。
結:あとがきと島情報
温泉に入って帰りたかったのですが、撮影機材の多さから断念しました。手荷物を預けてくれるとは思いますが、休日ということもあってか、駐車場には来客が多かったように感じたので次回に持ち越しです。
たくさん走った気がしますが、170km 程度でした。目的地まで高速道路で往復すると、そんなに走行距離は伸びませんね。ガソリンも1000円で行って帰って来られる距離でした。燃費もそんなに悪くないです。身体が慣れるまでは、まだ走りたいくらいの距離が丁度いいと思うので、次回もコレくらいの距離感で走って来ようと思います。
帰って来て『SHIMADAS』という「島専用の事典」を眺めていました。観光地や主要産業などもまとめられていて、これが中々におもしろい。今回の旅で訪れた倉橋島と鹿島について目に留まったところを引用して記事を終えます。― それでは、また。
倉橋島について
すごい歴史でした。
島の南方沖海底からは2~3万年前のナウマン象の化石や、須恵器・陶磁器が大量に引き揚げられている。また島内南部を中心に多くの古墳が確認されている。(中略)また、この島は古来船大工が多く、遣唐使船もこの島で造ったのではないかと伝えられ、また、厳島神社の管絃祭船*1 もこの島から献納されている。(中略)明治時代からは石材業が盛んになり、国会議事堂の建設にあたってこの島の桜みかげ石が選ばれるなど、石の島として全国的に知られている(前掲書:p.557)
鹿島について
瀬戸内のカリブという題目で次のように紹介されていました。
倉橋島の南端、江戸時代風待ち・潮待ちの港として栄えた鹿老渡の沖合に浮かび、山口・愛媛両県に面し、人の住む島としては広島県最南端にあたる。(中略)明治に入り、鰯網漁とタコツボ漁の隆盛で一気に人口が増加した。昭和50年に鹿島大橋が架かり、倉橋島を経て本土呉市と通じている。丘陵が起伏し、平地が少ないが、美しい自然に恵まれている(前掲書:p.559)
動画 #003
*1:筆者の地元のお祭り