今日は1ヶ月に一度の読書会である。先月も書いたかもしれないが、5年前から月に1回の頻度で行われているので、もう60回くらいのミニ講義(知的な雑談会)になっているかもしれない。
今回は、Dahl の Kiss Kiss という短編集の第二部、‘William and Mary’ を読んだ。タイトルの二人は夫婦で、William は哲学者、もうひとりは、その妻という設定で物語が進む。ダールの描く物語は殆どが不気味なものなのだけど、このパートもその例外ではなく、グロテスクな内容であった。
「 ロボトミー」という語はご存知だろうか *1。このセクションは、そのロボトミーをテーマに、人間の狂気を3名の登場人物の視点から描いた物語であると云えるだろう。実際に手術する Landy という人間の狂気、そういった手術を都合のいい説得によって受けることにする William の狂気、そして、その手術を受けた夫に対する妻 Mary の狂気…これらが、ダール特有のディテール癖によって緻密かつ自然な流れで紡ぎ出されている。
気付きとしては、おもしろい比喩が多い。解剖の喩えがよく食べ物になっていた点など、グロテスクな描写をより気持ち悪くするような表現も多用(?)されていた。「みかんの皮」とか身近なだけに考えるだけでも「おぇ」ってなる。
自分に対しての課題だが、Mary という名前に反応しなければならなかった。西洋史を勉強しなければならない。これは備忘録と戒めとしてここに記しておく。
連日のツーリングで準備ができていなかったことから(最低)、眺める感じで読んだだけなので、もう一度丁寧に読みたい。長いパートなので、力を入れて予習しなくても、文字を追うだけで良かった分、それが幸いとなったのかもしれない。短い文章だと、追っているだけでは細かい「仕掛け」に気づけないことが多々あるからだ。ただ、たとえ長い文章であっても、やっぱり本はゆっくりと読みたい。せっかく人数が集まって本を読むのだから色々な意見を言いたい(でも、意見を言うのは怖くてあまりできない)。