a.k.a.Sakaki

赤坂さかきの旅路

いざ、貴船神社へ。

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 学部時代の友人のひとりが、この度、結婚式を挙げることになった。めでたい。心から幸せだと思う。しかし、その式に出席することができそうにない。式場まで距離があるということではなく、仕事が入っているからである。全国的なお話だが、入社して半年は年休をもらえないという意味不明な制約によって、お祝いの場に、友人たちの集まりに参加できないというのはなんとも嘆かわしい話である。やれやれ、都合の良いところだけはキッチリしている。

 さておき、その結婚式の余興で動画を流すことになっているらしい。その素材の一つとして友人から「お祝いのメッセージを動画に記録して渡してくれ」というLINEが飛んできた。よかろう。派手にお祝いしよう。

 とはいえ、仲良くしていた人間が数十人(?)の単位で彼らにお祝いのメッセージを伝えるのだから、必ずと言っていいほど誰かと内容が重なってしまう未来が見える。何か自分にしかできないようなことはないだろうか…と思案した結果、京都という立地を活かすことにした。

 調べてみたところ、あまり「恋愛のパワースポット」というようなリア充たちが喜びそうなキャッチコピーは好きではないのだが、京都には縁結びスポットがいくつかあるらしい。その一つが清水寺ということなのだが、休日の清水寺に行く勇気はない。市バスに一度でも乗ったことのある人なら理解を得られるだろう。

 そこで目に留まったのが貴船神社。以前から京都に来ては行ってみたいと思っていた場所だったのだが、季節が冬だったり距離だったりの問題で機会を逃していた。もう決まりですね。丁度ツーリングに行きたいと思っていたこともあり、きちんと土日が休みの日程にもなっており、かつ、時期も夏ということで条件が揃った。以下、その旅の記録である。

経路

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 快晴である。前日の雨の予報はなんだったのか。いつもの河合神社でルートの確認を行っているとオオスズメバチが飛んでいた。夏だ。

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  今回の往路はこんな感じである。地図では宝ヶ池公園の前を通って…ということなのだが、遠回りになることを理解した上で、市営地下鉄烏丸線でいう国際会館駅前を通過して鞍馬・貴船口へと向かうルートにした。意外というか思っていた以上に近所だった。電車に乗って…となると遠く感じるのかもしれない(電車の旅が嫌いなわけではない)。

貴船口にて

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 標識に従って道なりに進むだけで到着する(写真の場所が叡山電鉄の貴船口駅となる)。これよりも2, 3kmほど先に本殿と奥宮があるので、とりあえず駐輪場まで走らせることにした。ただ、その道中に「良さしかない」ポイントがいくつもあったので、奥地でバイクを停めた後、参拝する前に歩いてこの地点まで戻ってきた。

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 こんな夏の気候で歩いたりなんかしたら普通はしんどいと思うところかもしれないのだが、貴船口に辿り着いたあたりから空気が変わったことが印象に残っている。側には川が流れており、周囲も緑色で覆われているおかげなのかもしれない。数キロ歩いても汗だくにはなっていない。本当に涼しかった。

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優勝@貴船口駅前

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奥に光る提灯が好き

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歩いた先々で見つかる資料

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さて、当初の目的とは外れてしまうが、せっかく貴船口にやってきたのだから川床料理というものを食したい。ところが、高いもので万単位、安くても数千円からと庶民にとっては良い値段である。そんな高級料亭が並ぶ中で1食3000円前後で食事できる場所を見けたので入ることにした。いや、十分に高級料亭だ(上の写真参照)。

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 ビクビクしながらだったが、中に入ってからは値段のことを全く気にしなくなった。むしろ、3000円なら安いと思った。まず、涼しい。大げさなのだが、体感で5℃は変わったと思う。川の上というのはこんなにも気持ち良いものなのか。そして、水の音を聞きながらいただく天ざるそば定食…なんと美味なことか。お蕎麦も美味しかったけど天ぷらもサクサクだった。食べ終わってからも川のせせらぎに耳を傾けて温かいお茶をすすって休憩することにした。久しぶりに「何もしない」時間を得た気がする。仕事を辞めたい。

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貴船神社にて

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ものおもへば 沢の蛍も わが身より

あくがれいづる 魂かとぞみる

           『後拾遺和歌集』

 この歌は、和泉式部が夫との仲が良くなかったことで思い悩み、貴船神社を訪れた時に詠んだものである。思い悩んでこの場所に来てみると、川面にはホタルが飛んでいて、その儚い光の一つ一つがまるで自分の身体から抜け出る魂のようでございます…ということである。一方、こちらは恋愛についての悩みなどないのだが、何かと思い悩んでいる時に読むと、何かに縋りたい気持ちにもなってしまう和泉式部の気持ちは汲めなくもない。

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 本殿は多くの人で賑わっていた。それでも清水寺ほどの人数ではないのだが、若い人が多かった印象。丁度、七夕の季節ということもあり、私利私欲にまみれた絵馬と短冊の数々がかけられていた。やれやれ、神様も大変だ。

 お参りをした後で動画を撮影し、友人の幸せを願掛けした絵馬もかけたところで、水占いというものが気になったので、少しだけ遊んでみることにした。水に浮かべると運勢が表れるとのことで、早速、手に入れてやってみた。

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大吉!

おみくじで大吉が出るのが久しぶりな気がする。旅行「行先利徳あり」ということで、この後も無事に帰ることができそうである(フラグ)。

 貴船神社、とてもおもしろい所だった。何気ない景色さえも華々しく見えた。今度は夜の顔が見てみたいので、しっかりとお金を用意して川床料理を食べに来ようと思う。

 この後、予定があったので帰ることにしたのだが、まだ時間に余裕があったので、来た道を戻らずに直進して帰ってみることにした。林道を見ると身体が疼くようである。通勤用の乗り物になっていたのでクネクネ曲がる狭い道が楽しくて仕方なかった(※乗用車では行かないほうが良い)。

 そこに突然の雷雨である。雨具はツーリングの時に常備しているのだが、着る間もなく、服を着たまま海に飛び込んだかのような状態になった。iPhone 8 が防水仕様で良かった。

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 雨雲を抜けたところでようやく休憩できるような場所に入ることができた。とはいえ、全身ずぶ濡れになってしまっていたので店内に入る気が起きなかった。バイクに乗り初めて短くないはずなのだが、雨粒が想像以上に痛いということと、全身が濡れた状態でトンネル内に入るとものすごく寒いことが分かったので、ボーナスが入ったらメッシュジャケットくらいは買おうと思う。これまで夏場はマウンテンパーカーで乗っていたのだが危険だ。

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夏雲。落雷の様子が見えた。

 ナビを確認し、嵐山を経由して帰ることにした。身体が濡れていたので観光は次回の楽しみに取っておくことにし、道だけでも覚えて帰ることにした。この辺りも要チェックだ。

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この経路周辺も面白そうな場所がたくさんある

 龍安寺金閣寺と経由して無事に出発点の出町柳まで戻ってくることができたのだが、ここから自宅に戻る際に二度目の雷雨に見舞われた。神よ、私になんの恨みがあるというのだ。せっかく身体が乾いたというのにこの仕打ちは酷すぎやしませんか。

 普通なら萎えるはずなのだが、この不測の不幸でさえ、今の自分にとっては楽しいと思えてしまうのであった。よほど日常に参っているようである。仕事を辞められるものであれば積極的に辞め、それが叶わないようであれば定期的に出かけて体調を整えなければならない。次はどこに行こうかな。(総走行距離:86.7km)