a.k.a.Sakaki

赤坂さかきの旅路

富士フイルム:X-H2と超望遠レンズ

生活必需品でもない限りはローンを組んで買い物はしない。― そのように、京都から広島に戻って来た自分に言い聞かせていました。ところが約3年を経たこの日、月々1万円少々の支払いを60回することになっていました。

my new gear...

その「自分ルール」を忘れていたわけではありません。きちんとした動機と裏付けがあって例外を認めた形となっています。今回の記事は、その経緯と今後のことを戒めと後学のために書き留めておくものとなっております。ほら、そこ、散財の免罪符なんて言わないの。

X-H2 について

現在所有する X-S10 との2台体制をどのカメラで…というのがここ数年のテーマでした。X-S10 は APS-C 機なので、2台目はフルサイズ機が良いだろうと漠然と考えていました(Nikon Z8 を考えていました)

X-S10との比較画像

しかし、手持ちの交換レンズ(とりわけ XF56mm F1.2 R WRXF80mm F2.8 R LM OIS WR Macro)を活用することでシャッターチャンスを逃しにくくなったり、表現の幅が広がったりするのではないかと考え、この X-H2 の姿が脳裏をチラついていました。

大幅にクロップしています:記事はコチラ

普通に撮影している分には2000万画素もあれば十分なのですが、こういったネイチャー・フォトの面白さに目覚めてしまいました。

上の写真もお気に入りではあるのですが、4000万画素機であれば水滴の中だけを写し出すことができるのではないか…と考えたのが、最後のひと押しとなりました。

供給不足から新品ではもう手に入らない機体となっていたのもあります。やりたいと思った時にできない方が後悔すると考えていたので、むしろ、この思いの方が強かったのではないかと振り返っています。

暗部のノイズや逆光耐性など、APS-C 機の不得意な部分は編集ソフトの実力が大幅に向上しているので、RAW データでの撮影さえ心がけていれば「今すぐにやりたいこと」に答えてくれるような気がしています。ノイズも味に変えられそうですし。

このブログを通して、時間をかけてレビューができればと考えています(ほとんど供給のないカメラではありますが、富士フイルムに興味を持った人が次世代のカメラを手にしてくれることを願っています)

XF150-600mm F5.6-8 R LM OIS WR で野鳥撮影デビュー

軽量コンパクト:公式ページ

超望遠レンズを迎える余裕があるのであれば Nikon Z シリーズで標準~中望遠域のシステムを組めるのではないかという意見はありそうですが、野鳥撮影用のレンズさえ揃えば、ひと先ずは何でも撮影できる状態になります。

野鳥撮影であれば、姉妹機の X-H2S の方に軍配が上がりますが、X-S10 の画素数と差別化を図るのであれば、X-H2 を選択するのが最善でした。この観点からも、ボディの選択は間違っていないと考えています。

既に何か X シリーズの機体を所有しているのであれば、選択肢の一つとして入れておくのは大いにアリではないでしょうか。

それにしてもこのレンズ、国内のレビュー動画が圧倒的に少なかったです。中でも自分の中で刺さった動画を上に引いておきます。色んなフィールドに足を運ぶ必要も出てきそうです。

意外と難しい

まずはピントを合わせたり被写体をファインダー越しに探したりする練習から始めました。コレが想像以上に難しいです。視野が揺れますし、シャッタースピードも通常以上に気にして撮影する必要があります。

モッフモフです

軽いので手持ちで撮影しやすかったですし、何よりインナーズームなので鳥に威圧感を与えなくて済みそうです。フルサイズ機でシステムを組むとこの2~3倍の投資が必要ですが、浮いたお金で移動して経験値を積む方が良い作品に仕上がる気がします。

だるまさんが転んだ

もっと角度を利かせて撮影していれば圧縮効果もあって面白い絵になったと思います。そんな感じで野鳥撮影は一瞬の気も緩めることができません。それゆえに悔しい思いをすることもありますし、バチッと決まった時の爽快感は気持ち良いです。

この写真も惜しかった

オスがメスにプレゼントを運んでいる瞬間? 親鳥が雛鳥にエサを与えている瞬間? に立ち会えたものの、シャッターチャンスを逃してしまった時の写真です。初めてだから…と思いつつもやっぱり悔しいです。ゲーム性もあって楽しいです。

とりあえず、こんなに近くでスズメを見たことがなかったのもあり、新しい世界の扉が開きました。また一枚、世界にレイヤーが重ねられたような、そんな体験ができています。

山椒

圧縮を利かせると F8.0 でもこの通り、背景はトロトロになってくれます。逆光でも撮ってみましたが、やはり順光の方が綺麗に色が出やすかったです。シルエットの撮影など、逆光を活かす手もあると思いますが、半逆光(※直射日光だと厳しい)くらいまでが APS-C 機による超望遠撮影の限界かもしれません。楽しいです。

XF56mm F1.2 R WR による試撮

XF56mm F1.2 R WR, F1.2, ISO-125

X-H2 にも搭載された「ノスタルジックネガ」で中望遠域の試撮に出かけました。少し暖色に寄せた色調で「クラシックネガ」よりもコントラストは控えめです。使いやすそうですね。

XF56mm F1.2 R WR, F1.2, ISO-125

以前にも増して木皮の解像度が高くなっているように感じます。広角~標準域側を X-S10 に、望遠側を X-H2 に担当してもらうことで今後の作品撮りが捗る気がします。

同じ場所です

同じ場所からでも表情がガラッと変わっています。五感に訴えかけるような写真を目指したいものですね。

XF56mm F1.2 R WR, F1.2, ISO-125

カメラ界隈からは「サブ機」や「趣味用」という位置付けになっている富士フイルムのカメラですが、値段に妥協しない使い心地だと思います。

元々富士フイルムのカメラの良さとして言われているのが「色」ですが、フィルムシミュレーションだけでなくRAWの色の出方もどこか柔らかい印象を抱きます。

一部の業界人が仕事で使うのであれば選択肢から外れるのは当然ですが、APS-C 機の特性をしっかりと理解した上で RAW で撮影すれば「今すぐ始めたい」を実現してくれるカメラだと思います。

しばらくこのシステムで

XF27mm F2.8 R WR の紹介でも書きましたが、カメラを持ち出さないと名作は生まれません。機動性にも富んだ魅力のあるカメラです。ゆっくりと、この先も富士フイルムのカメラで写真体験を続けられたらと思っています。

心の動いた時にシャッターを押し、このカメラを通して読者の皆さまに視覚以外の情報も伝えられるような、五感に訴えかけるような写真を撮ることができればとも思っています。

 そのためにも仕事(職)を探さなければ…。お仕事、広く募集しています。お問い合わせよりご連絡ください。

 それでは、また。