a.k.a.Sakaki

赤坂さかきの旅路

ちいさなひみつのせかい展

姫椿と河津桜が開花していました。ついに春の到来です。年間を通して今日のような気温であって欲しいと思いました。

 また、春を迎えたことにより、とうとうバイクに乗らなくなって1年が経ってしまったことにもなります。

 こういう日は吉和の方角を走りたくなってしまいますが、商売道具であるPCの買い替えや作業環境の改善に費用を用意しなければならないので、もうしばらく旅は「お預け」となりそうです。旅に出たい。

何度も記事の中で言っていますが、余程のことでもない限り外出すらしなくなってしまいました。買い物でもない、郵便局でもない、久しぶりの外出は「ちいさなひみつのせかい」というMozu氏の個展です。入場料は大人1000円。

等身大に拡大した演出(伏線)

この度は、「Mozu アートワーク ― ちいさなひみつのせかい ―」にご来場くださり誠にありがとうございます。

やっとです。

やっと、皆さんに「本物」をお見せできます。

SNSに作品を投稿する際、ミニチュアの魅力を最大限伝えるべく努力していますが、画像や動画だと半分も伝えられていないのでは、と思っています。

なぜなら、ミニチュアを肉眼で見たときの「可愛らしさ」や「精密さ」、近くで見た時の「ここに入ってみたい」と思う感覚など、ミニチュア特有の魅力というのは直接見ることでしか味わえないものだからです。

ですので、本展ではぜひ肉眼でじっくり見ることに集中してみてください。

SNSや作品集では気が付かなかった発見もたくさんあると思います。

本展を通して、私がミニチュアを作りながら感じている興奮を、少しでも味わっていただけたら幸いです。

最後になりましたが、ご来場くださいました皆様、また個展の準備と開催にご尽力いただきましたすべての方々へ、心より感謝を申し上げます。

大変な時期に本当にありがとうございました。

Mozu(水越 清貴)

2014年:自分の部屋

最初の展示は、彼が高校1年生の頃に初めて本格的に作ったミニチュアです。曰く「楽し過ぎて夜眠れなかった」とのことで、作家としての活動を決めた直接のきっかけとなった作品だそうです。

 スゴい、スゴすぎる。ダンボールの傷み具合、ビニール袋のシワ、ポテトチップスの袋の質感、無造作に捨てられたカップ麺のゴミ…など、拾い切れませんが、どれをとっても愛おしい。

 精巧さだけではありません。ありとあらゆるところにネタが仕込まれています。作者が「見つけてくれるかな」とニヤニヤしながら作っているのが目に浮かんできます。

 見えないところにも気を抜かない、そういった徹底ぶりも伝わってきました。ちなみに、メイキング動画もあります。少年ジャンプを作っている様子を眺めているだけでも気が遠くなりそうな作業ですね(1冊だけでも大変です)

2017年:友達の部屋

こちらの作品は、より製作者の遊び心が分かりやすいものとなっていました。ダンボールや広告など、それぞれに目を配ると、どこかで見たことのあるような名前とロゴが確認できます。

 スマートフォンにも充電コードが繋がっていますし、賞状の文字も、まんが雑誌や教科書も精巧にできています(豆本っていいですよね)

2015年:ゴミ捨て場

写真では気付かない死角にまで丁寧に作り込まれている点は、この個展の見どころだと思いました。冷蔵庫の中も、ゴミ袋の中も、どの角度からでも楽しめます。

2020年:こびとの公衆電話

ここに行ってみたい、と思わせる神秘的な世界観です。全てをお見せすることができないほどの展示の数々でしたが、ここからはいくつか写真で振り返ろうと思います。

宇宙動物病院のロゴが「ロズウェル事件」のそれです。

2016年:電柱、2019年:美術館

2016年:教室

この後で紹介するコマ撮りアニメーションの撮影舞台にもなっている教室のミニチュアです。この机を1つ完成させるだけでも大変そうですが、高さや幅を揃えてキッチリと作り込んでいく徹底ぶりには脱帽でした。42個を作るのに半年…。

ひと筆書き

ミニチュアだけでなく、絵も展示されていました。細々した作業が好きなのでしょうか、描く線にも性格がにじみ出ているように思います。

2020年:こびとの駅、2019年:こびとのエレベーター

ひと筆書きの展示を抜けると「こびと」シリーズの展示でした。本物と見比べながらメイキング動画も視聴すると、より面白さが伝わってきます。

2019年:こびとの旅館

旅館の謎スペース、いいですよね。トランプの絵札だけでなく、冷蔵庫の中身も必見です。本当に芸が細かい。

2019年:こびとの秘密基地
2021年:こびとのベランダ
2019年:こびとの非常階段

などなど、他にも「こびとのトイレ」や「こびとの押入れ」など、数多くの作品が展示されています。メイキング動画で予習して来場し、本物を眺め、また復習で動画や作品集(買いました)を眺める…といったサイクルで何度か楽しめます。

トリックアートまで

ミニチュアの展示を抜けたところでは、トリックアートの原画が展示されていました。こちらも購買で作品集がありましたので、ゆっくり眺めることもできます。

作者巡回済

ここから先の展示は、カメラNGのミニチュアと、コマ撮りアニメーションの絵コンテなどが見られます。この展示はオンラインでは観られないものばかりなので、是非とも足を運んでいただきたいです。グッズ販売も面白かったです。

 自分は作品集を2点お迎えし、家で復習しました。今度は良いカメラを携えての2週目を検討しています。気付けなかった部分をゆっくりと楽しみたいと思いました。

 また、彼からは作家にとって大切なことを思い出させてくれる機会をいただきました。自身を作家であるとは思ったことはありませんが「表現したいものを徹底して表現することを楽しむ」という、基本中の基本を忘れていました。

 自分が「コレだ」と思うものがあれば、とことん追究することが大切で、その追究のためには「楽しい」という活動源が必要であることを改めて考えました。

 自分には「コレだ」と思うものが見つかっていません。色んな暇つぶしの方法を試していますが、表現したい何かがあるわけでもなく、色んなことに手を出しては、その道の玄人の実力を前に心を折られています。

 成功者は、表現者は、自分の時間を色々なことに分散しない人を指すのであり、その費やしている時間を「努力」にカウントしないような人を指すのだと思います。つまるところの「天賦の才」とは、万人に与えられているものなのでしょうね。

 心から楽しかったです。Mozu さま、ありがとうございました。今後のご活躍を陰ながら見守っています。

リンク集